介護のお仕事 1

介護のお仕事

桜井識子さんが介護職に就かれていた頃のお話をまとめています。これらを読むと私は感動して胸がいっぱいになることがよくあります。とても大切なことを教えてくださっていると感じます。

識子さんが福祉用具専門相談員のお仕事をされていた時のお話です。利用者さんがお一人の時間に亡くなってしまわれます。若くして介護が必要な体になり、孤独で辛い人生を歩まれた利用者さんですが、投げやりになったりせず、明るくいい人でした。それなのに悲しい最後を遂げてしまいます。この方は無事に成仏できたのでしょうか・・・。

曲がったことが大嫌い、年をとっても知的障害のある子どもたちのことを思って一生懸命な利用者さんのお話です。もし私が同じ立場だったら他人に何と呼ばれようともきっとこの利用者さんのように必死に子どもたちを守ろうとするだろうと思います。

もし自分の身に何かあり、延命治療が必要になったら・・・。多くの場合、自分で意思表示ができないでしょうから、家族が、呼吸器をつけるのか、胃ろうの手術をするのかなどの決断に迫られます。本人の意志だからとはっきり示せるようにエンディングノートを用意したいと思うエピソードです。

どんな人の中にもポジティブな自分とネガティブな自分がいるのではないでしょうか。辛い時にポジティブになろうとしてもなかなか簡単にはできませんが、やっぱり明るく生きていきたいと思うお話です。

訪問入浴って家庭にバスタブを持ち込んで、利用者さんを入浴させてあげるんですね。力仕事だし、長い間お風呂に入っていない利用者さんもいますからとても大変なお仕事のようです。でも利用者さんの方はとても気持ちよくて認知症で表情が消えていたような方でも笑顔になるんですね。尊いお仕事ですね。

お年寄りや障害のある方に対する態度については本当に気をつけたいと思います。私もいくつかの福祉施設で働いた経験がありますので、同じような経験があります。ほとんどは支援員が利用者さんからの暴言や暴力に耐えるのですが(笑)、随分と年上の利用者さんを呼び捨てにしたり、命令口調で支援したりするスタッフもいますので悲しい気持ちになったことがあります。この世でせっかく出会った人と心が温かくなる接し方をしたいです。

識子さんが関わった介護者の方々のお話です。精神的な辛さがひしひしと伝わってきます。ブラックになりがちな介護業界で、相手を思いやる優しいケアマネさんのお話も素敵です。

利用者さんとその夫のお話です。夫婦は仲良く、よく笑っておられます。識子さんにもとても優しくしてくださるのですが、識子さんの上司は夫が元ヤの付く怖い職業の人だったから・・と言います。

識子さんが仕事で関わっていたお年寄りの中に、サーチュイン遺伝子がオンになっているであろう方が2名いらしたそうです。20歳とか15歳というレベルで若々しいらしく、識子さんがその秘訣を探っておられます。

人生、お金がないと不安になりますが、「人生、お金じゃない」というお話です。確かに漠然と家族の誰も自分のことを大事に思ってくれない老後は嫌だなと思います。

年老いた父親と娘のお互いを思いやる関係の親子のお話です。よく考えて決めたことでも、住み慣れた土地や友人と離れて暮らすと上手くいかないこともあるのですね。

デイサービスを利用している認知症の利用者さんたちのお話です。責任感が強かったり、礼儀正しい人だったり、几帳面だったりした方なんだなぁと温かい目で利用者さんを見ておられます。

97歳の利用者さんとその奥様のお話です。昔の男性なので、威厳がある感じです。奥様はお見合い結婚だったから愛されて結婚したのではないと思っていましたが、識子さんには若い頃の利用者さんが奥さんのことを「好きで好きで仕方がない」と思う姿が見えました。それが見えなくても、日常の様子を注意深く見れば愛情深いことはちゃんと見えるというお話です。

識子さんが福祉用具専門相談員のお仕事を退職される時のお話です。一生懸命お仕事をされたご褒美に神様がくださったと思われる前世の特攻隊員についての貴重なお話を聞く機会を得ておられます。他の利用者さんたちからも温かい言葉を受け取られたり、気持ちの伝わるお別れしたりしておられます。

認知症の軽度~中度の人は”分からない”ことがとても不安なのだそうです。自分が今どうすればいいのかが分からないのが辛いようです。それは健常者が想像するよりはるかに不安で苦しい日々のようです。

認知症の利用者さんたちのお話です。なんだか子どもみたいでとても可愛らしいです。

識子さんが落ち込んでいた時や心穏やかではなかった時に声をかけてくれた認知症の利用者さんたちのお話です。普段は情緒不安定で弱々しい方が、強く優しいお母さんのように識子さんを励ましたり、中程度に認知症の進んだ方が、識子さんの視点をそっと変えてあげたりする様子がとても美しいです。

胃ろうをしている寝たきりで重度認知症の利用者さんのお話です。話しかけても返事はなく、いつもぽかーんとした顔をされている方です。その方が夜中にずっと起きておられる様子なので識子さんが話しかけるとしっかり会話ができるだけでなく笑ったり冗談ぽいことまで言われるという不思議なお話です。

「認知症の不思議」の続きです。認知症で寝たきりなのに胃ろうをされたことに全く不満がありません。不思議に思っているとそれは親孝行な娘さんのためだったことが分かります。「娘の為なら体がしんどいことくらい我慢出来る」と溢れんばかりの愛情で懸命に生きておられることが分かります。

「親心」の続きです。認知症だと思って失礼な態度を取るスタッフもいます。識子さんはプロだからこそ、もっと本人の気持ちを考えてあげるべきなのでは?と思いスタッフミーティングで発言していますが、個人個人には伝わらない様子です。識子さんのような心の美しい介護士さんが増えるといいなと思います。

利用者さんのトイレ介助の時に識子さんがとっさに思いついたアイデアで難を切り抜けたり、認知症で乙女のような発言をしていた利用者さんが突然、関西のおばちゃんにもどったりする介護中のフフフと笑えるお話です。

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